「Bar KO-BO」こぼれ話ーその3:理想的な工場
先日、ニッポン手仕事図鑑様よりお誘いをいただき参加した、オンライン番組『Bar KO-BO(バーコウボウ)』。
「動画内で語った内容を補足するような事柄や、対談の中で思いついた内容などについて書こう!」との試みの第3弾です。
今回は、私が思う「理想的な工場」について。
動画と合わせて、お読みいただけると大変うれしいです。
Table of Contents
動的平衡という考え
「Bar KO-BO」で話した内容について、編集長の大牧様にこんなブログを書いていただきました。
https://www.jibungoto.work/entry/2021/07/29/203000
過分なお褒めの言葉をいただいて、めちゃくちゃ面映いです。
小さなお取り引きだったお客様がやがて大きくなり、
私たちの器から溢れ出るほどになったときには、
私たちを卒業して、更なる高みを目指して欲しい。
こんなふうに考えるようになったのは、一冊の本がきっかけでした。
それは、「生物と無生物のあいだ」福岡伸一著。
かなり有名な本なので読まれた方も多いかと思います。
「生命とは何か」という問いに対して、分子生物学の観点から答えを導き出そう試みる内容。
こう書くと、めちゃくちゃ難しそうな内容に思われるかもですが、
見事な例えや、表現の豊かさもあって、非常に読みやすいです。
この本の中で、「動的平衡」について語られています。
「動的平衡」とは、生命体は、自らを「壊す」ことで進化する。絶え間なく動き続け、部分が活発に入れ替わりながらも、全体として恒常性が保たれている。ということ。
例えば、人の体の細胞は4ヵ月ですべてが入れ替わる、そうすると4ヶ月前の自分と今の自分は同一人物と言えるのだろうか。
いわゆる、「テセウスの船」のパラドックス。
この本を読んで、会社などの組織も全く同じものなのだろうな〜と感じるところがあったのです。
動的平衡な組織こそが健全
動的平衡を会社組織に当てはめるとどうなるでしょうか?
細胞は、工場の機械やスタッフ、そしてお客様。
機械や従業員、そしてお客様がずーと同じ状態で工場に関わっていくのではなく、
その器を超えるものについては、どんどんそこから飛び出ていくことで、工場の健全性が保たれるのではないか。
なので、スタッフには副業を推奨し、「自分の仕事」を持つように促しています。
お客様にも、自分たちの器に収まりきらないオーダーについては、どんどん大きな工場へ乗り換えていただき、成長していってもらいたいと考えています。
それこそが、工場を健全に維持していくために必要だろう、そのように考えています。
このように書くと、どんどん従業員に圧力をかけて、使えなくなったらリストラみたいに捉えられるかもしれませんが、そうではありません。
できる限り居心地のいい場所、働きやすい場所、オーダーを出したい場所になりたい。
だけど、それが叶わないなら、もっと良い場所への旅立ちについては喜んで送り出したい。
これは父親がよく口にする、
「去るものは追わず、来るものは拒まず」にも影響を受けているのだろうと感じます。
自分の器の大きさ
自分の器に収まり切らないときは、執着せずにさら大きな舞台に喜んで送り出したい。
そういう思いを持った時に、「自分の器の大きさってどれくらいだろう・・?」と。
この疑問は、自分の中で「問いのまま」残り続けています。
実は、この「器の大きさ」についても、対談の一つのテーマとして話してみたいと思っていましたが、残念ながら時間切れに。
44年の人生の間に少なくない人と会い、話をし、時には一緒にお仕事させてもらってきましたが、
人はそれぞれに器を持っていて、その器にあった生き方をしている人は幸福だなと思うことが多々ありました。
器の大きな人が他人に使われていると窮屈そうで、時に力を発揮できずにいるなと思うこと、
器の小さな人が大きな組織のトップにいることで、過剰なストレスを受けているなと思うこと、
そんな場面に遭遇したことが何度もありました。
「器って何か?」これもまだ答えが出ていませんが、
他人の色んな考えや思いを受け止める量の多い少ないかな、と思ったりしています。
器の大きな人が有能で、小さな人がダメというのではありません。
一つ言えるのは、器の大きな人は「人間が大好き!」という点が共通しているかなと思います。
〜〜〜
家族だけがなんとか食べていければいいかな、と始めた仕事ですが、
少しずつお客様が増え、組織が大きくなっている。
自分の器は決して大きくないと思っている中で、少しずつ膨らんでいく「器の中身」は恐怖でもあります。
どんどん大きくなる中身は、やがて自分の器を壊してしまうのではないのか。
または、良質な中身が小さな器の中で腐っていってしまうのではないだろうか・・
自分の器の大きさにあった工場、それが私にとっての今の所の「理想的な工場」であり、
今まさに手探りをしている状態です。
まとめ
今回は、私の思う「理想的な工場」について、思うところを書いてみました。
この問いについては、まだまだ答えが出ていないのですが、
理想的な工場=トップの器の大きさにあった組織
かな〜とぼんやりと思ったりしています。
器の大きさというのは、ある年齢までで決まってしまうもののようにも思いますが、
もし求められるのであれば、今からでも少しずつ大きくして色んな人のお役に立てればいいかな、
そんなふうに感じています。
今回で「Bar KO-BO」こぼれ話シリーズは、終了したいと思います。
オンライン番組『Bar KO-BO(バーコウボウ)』への参加は、本当に色んなことを振り返り、考えるきっかけになりました。
改めて、この場で感謝をしたいと思います。
これまで、自分の思いを発信することは少なかったですが、言語化することの大切さを改めて実感しています。
今後も町工場のおっさんとして、こう言った内容の発信もしていきたいなと感じています。
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