今回は、普段ご提供させていただいているサービスであるカタログオーダーとは異なり、
試験的に生地の提案やパターン作成などを含めたフルオーダーメイドサービスを行いました。
今回のようなフルオーダーメイドも将来的にサービスとしてまとめたいと考えています。
以下は、デザイン、パターン、縫製などすべてを担当した姉(tomoko)によるフルオーダーメイド事例紹介となります。
(yuki)
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昨年末、京和傘の株式会社日吉屋、西堀様にオーダーメイド帽子2点納品させていただきました。
以前からお客様に寄り添った、完璧なフルオーダーメイドの帽子を作るべく奮闘していた私に、弟から提案された企画でした。
『まずは社内の人たち一人一人に、完璧に納得してもらえる帽子が作れるようになってから…』
という気持ちで取り組んでいたのですが、それを飛び越えていきなりお客様に。
不安はありましたが、長年培ってきた仕事への自信が、それを喜びに変えてくれました。
まず最初にしたことは、西堀様の経歴を調べることでした。
西堀様は、和傘業界のトップランナーでもあり、また和傘の技術を活かした照明器具などの開発、海外進出にも積極的に取り組まれています。調べるほどに、緊張が高まります。
この様な機会がないとなかなかお会いできない方と、3回にもわたり長時間いろんな分野にわたりお話しさせて頂けたことは、私にとってかけがえのない財産となりました。
始めてお会いした時の印象は、貫録がありスマートで優しそうな方。
話すうちに、繊細かつ決断力のある方だと感じました。
その日は採寸とご希望の帽子の画像などを見せていただき、工場見学をさせて頂いて終了しました。
2回目、生地と試作品を持ってお店に出向きました。
試作品をかぶってもらいサイズの微調整、お顔とのバランスなどを確認。
生地は西堀様のご希望のお色目と、来ておられるお洋服の印象で、こちらから厳選したスーツ生地を持参させていただきました。
その際にHIYOSHIYA Contemporary のイメージカラーであるブルーに注目、そして傘の要素を取り入れたいという私のたっての希望も承諾していただき、2枚の生地を選んでいただきました。
3回目、緊張の納品日です。
キャスケット帽子2点出来上がりました。
こだわりはたくさん!なにからご紹介してよいかわかりません。
まずは裏地から、スーツの表地にも使われる、紺無地と銀色のラメの入った紺の生地を使用。
西堀様の頭の形に合わせた型で、8枚の縫い目には青系にあうエンジ色のパイピングを施し、傘の骨に見立てました。
そうすることにより、柔らかい生地にも張りが出て、裏地の形を保つ役割も果たしてくれました。
表生地に使用したスーツ生地はあまり融通が利かない生地です。
よれやタックなどがダイレクトに表れる素材で、縫製にとても気を使います。
またダメージを受けやすい庇の表には強度と、経年変化を考慮し皮を使用。より縫製しにくい仕様へとなっていきました。
クラウンを縫製する際、しわになりにくい生地の特性が裏目に。
縫い代が割れず表に影響が出てしまうため、すべての縫い代に生地の風合いをできるだけかえない、薄いバイヤステープを貼り丸みを出しました。
加工前 加工後
腰の後ろ部分は、髪を束ねても違和感なくかぶれるようにという西堀様のご希望で、緩やかなカーブをつけながら腰を消す仕様に。
ビン皮(汗止め)は庇表と同じ皮で作成。
裏地と一体化させたため、表にステッチを入れずに合体させる事にとても頭を使いました。
出来上がった愛情込め込めの作品。いとおしくて仕方ありません。お客様の手に渡った時にどのような評価を受けるか、気に入って頂け大事にしていただけるか。まるでわが子のようです。
納品前には、社内で被りかたをレクチャーしてもらい、いざ西堀様のところへ。
西堀様のお店でご自身がモデルになってもらい、写真を撮らせていただきました。
この数か月とても有意義な時間を過ごすことができました。
この企画に携わってくださった皆様。
本当にありがとうございました。
今後もこの気持ちを忘れず、日々精進してまいりますので、これからも温かい目で、見守っていただけたら幸いです。
つたない文章を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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